Kuro in Germany’s blog

ドイツ発クロものがたり

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とっておきの散歩道

 以前『哲学者のカフェ』と言う本を読んだことがある。ぼんやりとしか覚えていないのでレビューを検索したら次のように記されてい。

《現代ドイツの俊英・へレスが、古今東西のテク学者が集まる架空のカフェを設定、少女ノーラと文通する。ノーラが11歳から14歳になるまでの、大人と子どもの哲学書簡を通して、この世界の不思議な矛盾などをすべての答えを問い続けた人間の思考の歩みがわかる画期的なノンフィクション》

とあった。

大学のころ授業をサボって喫茶店で哲学書をかじっていたことがあり、最近はその中でもキルケゴールの「死に至る病」をチビチビかじって、とうとうかじりきれなかったことを思い出す。正解がわからない、出口の見えない今の世界のありように過去のワタシと少々議論してみたい気もしないでもない。

「そんな辛気臭いその頃のワタシに出会っていたら今はない!」と夫に言われたことがあった。あくまでも体育会系に生まれ変わったワタシで良いのだと。同意!

今日のお話しはお散歩コースがテーマ。

実は馬だ、畑だ、のお散歩コースとは別に私のお気に入りの一画がある。我が家に近い墓地がそれである。お墓の北口から「おじゃまします」と一礼して西口から「失礼します」と辞するのが習慣。ここは冒頭にのべた哲学者のカフェならぬ「天国のカフェ」と名づけている。墓石に刻まれた名前や色とりどりの花は今住んでいる住宅地の天国版。きっと夜な夜なお隣さんと語っているのだろう。

「どうして若くして天国へ?」 

「大きなお墓ですね。今はどなたと同居していますの?」

私たちが別れを告げた大切な人もこの一画に集まったりする。そして知りたかったことや分らなかったことなどを問いかけてみたりする。あるときは蝶々にあるときは小鳥になって現れたりもする。

私たちもここにする? ならばどこ? 墓石の色は?かたちは?  ひたすら明るい問いかけに終始するが結論はでない。

でも心が落ち着き、自分に向き合える場所として散歩道としては最高なのです。日本では考えられませんね。うるさい!と叱られてしまいそうですね。